尊敬する人の尊敬する人から人生を学ぶ~中村天風~

マインドセット

あなたの尊敬する人は誰ですか?

私は「経営の神様」松下幸之助、「京セラ創業者」稲盛和夫を尊敬しています。

この2人は、共に経営者として成功を収めてますが、共通しているのは何もお金を稼いだことだけではありません。

人生や仕事について深く考え、「人間の本来あるべき姿とは何か?」

という視点で物事を考える言わば「人生の教科書」的な人達です。

心を清らかに保ち、仕事に情熱を注ぐことで経営者としてだけではなく、人間としての在り方を追求してきた人物です。

今やインターネットで様々な情報を得ることが出来ますが、この2人は古くから変わらない普遍的な考え方を持っているため、彼らの著書からはいつの時代でも役に立つ事柄が学べます。

小手先のテクニック論ではなく、原理原則に基づいた根本的な心の在り方を教えてくれる人物です。

その2人が尊敬していた共通の人物が居ます。

その人物の名前が「中村天風(なかむらてんぷう)」という人物です。

先ずは最初に「中村天風」という人物像についてお伝えします。

中村天風とは?

中村天風著書【真人生の探求】画像
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中村天風は昭和時代に活躍した作家です。

天風の著書は数々の有名人に座右の書として挙げられています。

「二刀流」でお馴染みの野球選手、大谷翔平もその中の一人です。

天風は作家になるまでたくさんの凄い人生経験をしてきました。

天風は1876(明治9)年に東京で産まれました。

本名は中村三郎です。

1904(明治37)年に日露戦争の軍事探偵として満州で活躍しました。

軍事探偵を務めるのは相当優秀じゃないと出来ないですよね。

帰国後、当時では死病であった肺結核を発病しました。

死と真剣に向き合うことで、天風の人生が大きく変わります。

一度死にかけた人は人生が変わると言いますよね。

自分がそうなる訳には行かないので、そうなった人から学びましょう。

死を目前に人生について深く考えるようになった天風は、真理を求めて欧米を遍歴します。

そこからさらに東洋思想を学ぶために、ヒマラヤのふもとでインドのヨガの聖者の指導を受け、心と身体の健康法を身に付けました。

東洋真理を深く学んだ天風は、「自分は大宇宙の力と結びついている強い存在だ」という真理を悟りました。

そこで、自身で編み出した人生の指針となる「心身統一法」を以て当時死の病である肺結核を自力で治しました。

「病は気から」を身をもって実践したんです。

ここが本当に凄いと思います。

「心身統一法」とは潜在意識を活用し、普段の私生活に応用した実践的な方法になります。

今では潜在意識という言葉は多くの方が知っている言葉ですが、当時いち早く日本で潜在意識を取り上げた人物です。

「心身統一法」については後ほど説明しますね。

帰国後、いくつかの会社経営にたずさわり、実業会で活躍します。

1919(大正8)年には実業会から足を洗い、全ての財産を投じて、後に財団法人となる「統一哲医学会」を設立します。

この時から天風は「心身統一法」を広く世に伝える人世を送ります。

以前から出版会社に熱烈なオファーを受けていましたが自身が推奨する「心身統一法」は論理を頭で学ぶだけで実践しないと意味がないという理由で断っていました。

なので作家としての人生は非常に短いですが、出版された本はとても読み応えのある内容の濃い本になってます。

1940年代後半では3冊の本を出版しています。

1947(昭和22)年「真人生の探究」を発行。

1948(昭和23)年「研心抄」を発行。

1949(昭和24)年「練身抄」を発行。

それから生涯においていくつもの著書を書き上げました。

1968(昭和43)年に92歳でこの世を去りました。

天風の実話として、戦時中に他国と交渉する際に「銃弾が飛び交う中」を歩いて交渉しに行きました。

そこで見事に交渉を成立させました。

そんな強い精神を持ったら悩みなんて無くなりそうですね。

天風は強いだけじゃなく幸福度も非常に高いレベルでした。

強くて幸せになると周りにも良い影響をもたらします。

そんな天風は一般の人でもそうなれるように「心身統一法」を編み出し、本や講演活動で世に広めたのです。

次に中村天風が著書【真人生の探求】で記した「心身統一法」について説明します。

心身統一法

この方法は「富や名声」と言った外的な事象を根拠に幸せになるのではなく、内から沸き起こる自然な感情で無条件の幸せを手に入れるための実践法になります。

この方法を実践すればいつでもどこでも誰でも幸せになることが出来ます。

日々の生活に追われている人でも簡単に実践出来る内容なので、忙しい人にもおすすめ出来ます。

心身統一法を学ぶ前に知っておきたいこと

心身統一法を学ぶ前に知っておきたいことが2つあります。

それは「思考の仕組み」「人間の使命」です。

天風の「心身統一法」はそれを前提として学び、実践するものになるので、先ずはそれから説明します。

思考の仕組み

まず前提条件として天風が考える「思考の仕組み」を理解しましょう。

天風は人間の思考は実在意識(おそらく顕在意識のこと)で作られるとしています。

実在意識は組み立て工場のような場所です。

それに対して潜在意識は工場で使われる思考の材料を置く倉庫のような場所です。

倉庫に置いている材料が消極的(マイナスの)思考の材料ばかりだと、組み立てられる思考も消極的なものばかりが組み立てられます。そうするとネガティブ思考になります。

逆に、倉庫に置いてある材料が積極的(プラスの)思考の材料が多いと、組み立てられる思考も積極的になります。そうするとポジティブ思考になります。

一般的に言われるポジティブ思考を推奨する情報は顕在意識の段階でポジティブな思考を組み立てることを推薦している様に見受けられます。

でもいくらポジティブな思考を組み立てようとしても、湧いてくる思考がネガティブだった場合、それに無理やりフタをする状態になってしまいます。

潜在意識にあるポジティブな思考だけを必死に探して拾ってくる作業が必要です。

それに対して天風は思考を組み立てる前の材料が置いてある潜在意識にポジティブな思考をドンドン並べていくことで自然とポジティブな思考が生まれるという論理です。

最近ではポジティブ思考を意識しすぎたらそればかりに捉われてしまうと言った情報が多いですが、天風はポジティブ思考を断固推奨しています。

「心身統一法」とは思考の材料庫である潜在意識を浄化(ポジティブ化)して積極的な思考の材料だけを倉庫に置いておくことができる実践的な方法です。

では、一体どうやって潜在意識を浄化し、積極的な思考の材料を並べて置くことが出来るのでしょうか?

その前に「人間の使命」について説明します。

人間の使命

先ずは心身統一法を実践するに当たって、天風が到達した「人間の使命」についてお伝えします。

天風の言葉を引用すると、

人間の使命:宇宙原則に即応してこの世の中の進化と向上とを現実化することに努力する

引用元:中村天風著書「真人生の探求」より

う~ん。

少し難しいですね(笑)

簡単に説明すると、宇宙という大いなる力に感謝して「学ぶ心」「実践する心」を常に持つことだと思います。

「宇宙に感謝するって意味わからん」

と思った方に詳しく説明すると、宇宙という広大な世界をイメージすることで自分の意識が無限に広がります。

宇宙飛行に行った方が、宇宙から地球を見たら悩みなんて無くなるという感覚に近いです。

広大な宇宙をイメージした場合、どんな感情が湧いてきますか?

少なくとも「怒り」や「悲しみ」や「恐れ」と言った縮まる感情ではなく、「すごいなぁ」と言った広がりを見せる感情が湧いてくるはず。

この「すごいなぁ」という感情こそが宇宙の大いなる力だと思って下さい。

つまり、宇宙の力とは、あなたの宇宙に対する主観と物理的な事象のことです。

物理的にその力で我々の住む星、地球を作ってくれたと考えたら感謝の気持ちが湧いて来ませんか?

私を生んでくれた母に感謝し、さらに母を生んでくれた祖母に感謝し、と連想していくと最後には地球を作ってくれた宇宙に感謝する感情が湧きあがります。

その感情を常に持ちながら、成長していくことが天風が到達した「人間の使命」なのです。

壮大ですね。

では次に「心身統一法」について学びましょう。

心身統一法の重要な部分を紹介

天風の「心身統一法」で数ある実践法の中でも意識するべき重要となることがらをまとめると「生と死」「目覚めと寝る前」「感謝と成長」になります。

天風は朝目覚めた時に「今日も生きていた」と感謝することから一日をスタートするように説いています。

これを聞くと、

「そんなの大げさだ」

「わざわざそれをするメリットはそんなに無いだろう」

「面倒くさい」

とか考えてしまいますが、これをするのとしないのでは心身の健康に大きく差が出るとのことです。

朝を「生の喜びと感謝」でスタートすることによって、今日一日の心持がとても変わります。

天風はこれを3ヶ月続けると効果を実感すると言っています。

筋トレや運動と違って実際に目に見える効果ではなく、心持が変わるという感覚的なことがらなので、成長として実感するのは難しと思いますが、その「難しいと思っている意識」を取り除いて下さい。

人間は意識して実行することで精神を成長することが出来るのです。

それが「心身統一法」の神髄です。

「心身統一法」では寝る前に行うべきことが3つあります。

1つ目は寝る前に今日起きたことに対しての自分が感じてしまった「怒り」「悲しみ」「恐れ」の3つについて反省するということです。

天風は体に最も悪い影響を与える感情は3つあると述べています。

それが「怒り」「悲しみ」「恐れ」です。

なのでこの3つの感情が湧いた自分に対して反省し、その感情が湧かないように自分を鼓舞する必要があると述べています。

個人的に、もう一つ感情を追加することをおすすめします。

それは「恥」という感情です。

「恥」という感情は最も「死」に近い感情です。

生物学的に、哺乳類などの高等な動物は「排便中」や「交尾中」は、敵に襲われる可能性が高い為、「恥」という感情を以てその行為を行うことで、危険を感じたら直ぐにそれを止めることが出来るようにプログラムされています。

なので「恥」という感情は大切な感情でもあるのですが、体に「死」を意識させるため、パフォーマンスが非常に低下する傾向があります。

「恥ずかしい」と感じた場合、瞬間的に精神が内に縮まり体が委縮します。

思考も正常では無くなるので、出来ることなら「恥」はなるべく避けたい感情になります。

寝る前に今日あった出来事で「怒り」「悲しみ」「恐れ」「恥」の4つの感情を感じてなかったか反省しましょう。

2つ目にやるべきことは、寝る前に自分がそうなりたい心について「~なる」「~でなくなる」と言った言葉を真剣な心持で1回だけ唱えるということです。

これは自己暗示法と言って思い込みや刷り込みによって効果をもたらします。

ポイントは寝る前の1回しか唱えては行けないということと、少なくとも3ヶ月は同じ言葉を唱えるということ、そして時間帯は必ず寝る前ということです。

1回だけと決めていると、より真剣な気持ちで唱えることが出来ます。

そして同じ言葉を毎日真剣に唱え続けることで潜在意識の中に必要な思考の材料を並べて置くことができます。

寝る前に行うメリットは、睡眠時の方がより潜在意識と繋がりやすくなるためです。

3つ目は寝る前に明るく朗らか(ほがらか)で生き生きとした勇ましい自分をイメージするということです。

「明るいイメージ」は前向きな感情を生み、「朗らかなイメージ」は優しい感情を生み、「生き生きとしたイメージ」は情熱を生み「勇ましいイメージ」は信念を生みます。

これらを意識することで根本的にポジティブな自分像が出来上がります。

これは出来るだけ一番最後に行う方が良いと思います。

寝る前にこれら3つをやってみましょう。

「心身統一法」において朝にやるべきことは先ほど紹介した「今日も生きていることに感謝する」ということ以外に2つあります。

1つ目は朝目が覚めた直後前夜に自己暗示したことに対して「私は~になった」といった断定的な発声をするということです。

これは昨夜の自己暗示効果を高める方法になります。

潜在意識と繋がりやすい目覚め寝る前の2回行うことで、より高い効果を発揮します。

2つ目は朝に瞑想をしながら3回深呼吸をするということです。

瞑想法と深呼吸法は天風独自のやり方があります。

瞑想法については座禅をして両手を膝の上で組み目を閉じます。ここまでは一般的な瞑想の体勢と同じです。

その後に上半身を「の」の字を書くようにして揺れを感じます。

そうすることで自分の体の重心を感じることが出来ます。

身体の重心を感じたら、肛門を閉じ、肩の力を抜き、丹田(ヘソの下)を意識します。

その状態で息を吐きます。

そして大きく息を吸い込みます。

深呼吸を3回したら終わりです。

人間にはみぞおちの部分に感情で締め付けられたり広がったりする神経叢(しんけいそう)という神経が存在します。

マイナスの感情が出て来たらこの神経叢が縮まりそこから全身に「身体のこわばり」として悪い影響を及ぼすそうです。

その神経叢の逃げ道として適切な箇所が丹田という場所になります。

マイナスの感情を感じたら、お腹で受け止める感覚です。

丹田を意識するにはそう言った医学的な理由があります。

肩の力を抜くのも横隔膜を上げないようにするという理由があります。

マイナスの感情を感じると人間は横隔膜が上がるそうです。

それを防ぐために肩の力を抜く必要があります。

肛門を閉めるのは「気」が抜けるのを防ぐという東洋医学的な根拠が元になっています。

毎朝この瞑想&深呼吸を続けることで、日中にマイナスの感情を感じた場合、肛門を閉め、肩の力を抜き、丹田を意識することが意識的に出来る様になるそうです。

まとめ

以上が「心身統一法」の重要部分になります。

他にも様々な方法があるので興味がある人は是非【真人生の探求】を読んで見て下さい。

何十年も前の本なので文語体の表現が少し古く、わからない言葉が出てきたりしますが、文脈から判断できるので気にせず読み進めていけば、言いたいことは理解できると思います。

本書ではいかに「心身統一法」を実践することが重要かを情熱的に述べているので、本書を読めばその情熱が伝わり実践したくなります。

それではここまで学んできた「心身統一法」のおさらいをしましょう。

寝る前にすること

  1. 今日起きたことに対しての自分が感じてしまった「怒り」「悲しみ」「恐れ」「恥」の4つについて反省する
  2. 自分がそうなりたい心について「~なる」「~でなくなる」と言った言葉を真剣な心持で1回だけ唱える
  3. 明るく朗らか(ほがらか)で生き生きとした勇ましい自分をイメージする

目覚めたらすること

  1. 今日も生きていることに感謝する
  2. 前夜に自己暗示したことに対して「私は~になった」といった断定的な発声をする
  3. 瞑想をしながら3回深呼吸をする(その際に肛門を閉め、肩の力を抜き、丹田を意識する)

これを人生の習慣にしてみることをおすすめします。

最後に天風が人生の目標にしていることを紹介します。

普通の人は感覚、本能、理性、感情を満たすことを目標にしているが、天風はそれでは本当の幸せは感じれないと言っています、

天風が目標にしていることは「霊性を満たすこと」です。

「はい!?」

と思った方に説明します。

簡単に言えば「人の世のためになることを楽しみとする」ということだそうです。

スピリチュアルな感覚を持った方に詳しく説明すると、自分とは「身体ではなく霊魂である」と自覚し、自分を真に喜ばすには「霊魂」を喜ばすのが当たり前と感じれる様になるということです。

この記事の結論として尊敬する人の尊敬する人から人生を学ぶのは非常に価値があるということです。

ここで質問です。

あなたの尊敬する人は誰を尊敬していますか?

ここまで読んでくれてありがとう

からあなたに感謝します

コメント

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