【日月物語】エピソード1「物語設定」

【日月物語】

【日月物語】序章 かつて、

世界は豊かだった。

けれどその豊かさは、

争いと欲望によって自らを壊し、

文明は静かに滅びていった。

人々は荒れ果てた大地に佇み、

残されたのは、風と水と、空にある太陽と月だった。

やがて人々は気づいた。

目に見えぬ力が、この自然の中に宿っていることを――。

そして、ある時代。

広い平野の一角にふたつの村があった。

一つは「お日見村」。

太陽を信じ、力強く生きることを尊ぶ人々の村。

もう一つは「お月見村」。

月を仰ぎ、静かに寄り添う心を育む村。

ふたつの村は、元は一つの村だった。

けれど、信じるものが違えば、心もすれ違う。

争いを避けるため、村人たちは互いに距離をとり、

その間に一つの社(やしろ)を建てた。

社にはふたりの巫女が住む。

お日見村の「あがり様」、

お月見村の「いり様」。

彼女たちは、

不思議な力で子どもの心を見抜き、

その“信仰の芽”を確かめる。

お日見村では十歳の子どもに「日の心」が芽生え、

お月見村では「月の心」が育つ。

――日の心とは、諦めずに前に進む力。

――月の心とは、他者を癒す静かな力。

村人たちはそれぞれの心を大切にし、

互いのやり方を尊重しつつ、

時に米や麻、酒や衣を交換しながら、慎ましく生きていた。

しかし、その均衡がある日、静かに揺らいだ。

お日見村の男と、お月見村の女が、 互いの心を超えて結ばれたのだ。

そして、その子が生まれた。

日と月が交わるとき、

「特別な子が生まれる」

――それは、村に伝わる古い言い伝えだった。

長く分かたれた日と月が、

再びひとつの光となる物語が、

静かに幕を開けた――。

4分で観れます☆

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