【日月物語】

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【日月物語】第6話「16歳の夏」

照りつける太陽の元で、 ミンミンと鳴くセミの音。 朝露がまだかすかに残る頃、 雪音は森の中で瞑想にふけっていた。 「・・・」 すると、世話役の女が声をかけてきた。 「雪音さん、あがり様がお呼びです」 「雅さん、こんなところまでわざわざすみま...
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【日月物語】第5話「特別な子」

ある晩のこと。 コンコンと扉を叩く音がする。 「こんな夜更けに何かしら」 女は家の扉を開けると、 そこにはしわだらけの女が立っていた。 「ばぁ様、どうかされましたか」 「お主の娘に用がある」 「雪音に?一体何の用でしょう」 「娘には、これよ...
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【日月物語】第4話「二つの名前」

お月見村には二つの掟があった。 一つ目は、闇落ちしたお日見村の人と、 深く干渉してはいけないということ。 次に、一度捨てた名前はもう二度と口にしてはいけないということ。 もし一度でも口にしたらならば村を出なければならない。 そんな掟もあって...
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【日月物語】第3話「禁じられた愛」

悲しい出来事が起こった時、 日の心は時々雲隠れすることがある。 雲隠れが常習化すると、心は荒み、心の岩戸が閉まり、そしてついに、闇へ落ちる。 闇落ちしたお日見村の人は、隣村へ行き、月の心に囲まれて心の傷を癒さないと村へ帰れないという掟があっ...
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【日月物語】第2話「麻と酒と」

「ばぁ様、あがりばぁ様、雪音を連れて参りました」 大きな声で男は言った。 「どうぞこちらに」 世話役の女に連れられて、二人は社の奥の部屋に入って行った。 すると、しわだらけの女が目をつぶりながら、手招きしている。 「二人共ここに座りなさい」...
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【日月物語】第1話「儀式」

人々の心は満ちていた。 太古の昔に心の大掃除を行った日から、 人々は月の心を持つ者と、 日の心を持つ者に分かれていた。 【日月物語】第1話「儀式」 とある雪の晩。 元氣な赤ん坊が産声を上げた。 「ほら、女の子だぞ」 男が赤ん坊を抱きかかえて...
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【日月物語】エピソード1「物語設定」

【日月物語】エピソード1「物語設定」台本公開 文明が滅びると、物理的な豊かさを失った人々は自ずと自然に溶け込んで行く。 そしてだんだんと自然崇拝の信仰心が芽生え始める。 この物語は遠い未来のとある村から始まる。 その村はお日見村と呼ばれた。...